今回のルート
扇沢から針ノ木雪渓(雪はなし)を登り、針ノ木岳、スバリ岳、赤沢岳と周回、種池山荘でテント泊してから、柏原新道を下山するコース。
針ノ木岳とは
針ノ木岳(はりのきだけ)は、標高2,821m。主に長野県に位置し、北アルプスのほぼ中央。頂上からは黒部ダム湖越しの立山連峰や、周囲の山岳を眺めることができる。
登山道は、長野県大町市の扇沢駅そばに登山口があり、比較的アクセスしやすい。針ノ木大雪渓を経由して針ノ木峠に登るルートで、峠には針ノ木小屋(テント場あり)が建っている(扇沢駅から所要6時間)。峠から黒部湖に下り、平へ渡船して五色ガ原に登るコースもある。烏帽子岳への縦走は、高度は低いが険路の連続である。冬季には、スキーヤーやスノーボーダーにとってバックカントリーの場所にもなる。
古くは1584年冬の越中城主佐々成政によるさらさら越えで針ノ木峠を超えた伝説が知られるが、もし本当だったとしたら、当時の装備で実際に冬の山越えは相当な困難だったと思う。
山名は、針ノ木峠の名にちなんで、命名されたが、その「針ノ木」は、この付近に生える「ハンノキ」が語源といわれる。特に針のような木がある訳では無い。
針ノ木岳へ
柏原新道登山口:駐車場は深夜にほぼ満車になる。
普通の9月の週末、土曜AM1:30頃に柏原新道登山口駐車場着。すでもほぼ満車。車中泊後、翌朝出発した際は、他の無料駐車場に車が止まっている状況。
水場はない。トイレは夏季だけと思われるが、仮設トイレあり。トイレ内にトイレットペーパー準備されていてありがたい。仮設トイレ前には小さな水路があり周囲の沢水が流れていて、下山後に靴の泥を落としたりすることは可能。
針ノ木岳登山口〜針ノ木峠
黒部ダムや立山方面への登山・観光客が切符売り場に列を作っているなか、扇沢駅の横にひっそりと佇む針ノ木岳登山口へ。前後は誰もいない。立山方面に比べると静かな登山が楽しめそう。
はじめは笹とブナの樹林帯を進む。途中、工事用の道路を何回か横切り針ノ木沢まで。
針ノ木沢からは、沢沿いを登る。時期が時期ならここは針ノ木大雪渓があるところ。雪渓が残っていればさぞかし涼しいのだろうが、2023年9月9日時点では雪は跡形もなく消えている。幸い、ガスが出てきて曇っている中の登山となったので、幾分暑さは和らいだ中、登る事ができた。
標高が高くなると、それなりに急になってくる。岩場を登ったり、整備されたつづら折りの登山道を登ると、針ノ木峠に到着。
針ノ木峠直下まで、長野県側はガスが掛かって景色は見えず、今日は修行コースかと一部諦めていたが、稜線上の峠から、富山県側はガスがなく、景色がよく見える。
針ノ木小屋
針ノ木峠にある山小屋。蓮華岳と針ノ木岳の間の鞍部にある。テント場が併設されていて、小屋・テント場ともに富山県側に小屋があり、眺めが良い。テント場は稜線から下の方に段々畑のようにのびていて、到着が遅くなると、かなり下のテント場になって、トイレなどが苦行となる可能性がある。利用の際は早めに到着していい場所を確保したい。
針ノ木岳からの景色
針ノ木小屋のそばから針ノ木岳へ。取り付きはやや急だが、それ以降はそうきつくはない登山道。ガスが晴れたり、かかったりしながら、登頂。
頂上からは黒部ダム越しの立山連峰、周囲の北アルプスの名峰が一望。ただこの日は標高の高い立山や槍ヶ岳はガスがかかって頂上が見えず。しかし黒部ダム湖はよく見えた。最近の水不足のため、ダム湖の水位は低いが、それでもきれいなダム湖越しの景色を楽しめた。
針ノ木岳から種池山荘への稜線
針ノ木岳〜スバリ岳
針ノ木岳で景色を眺めつつ休憩後、稜線を歩いて種池山荘へ向かう。はじめはお隣にあるスバリ岳へ。がれた道を下り、ガレた道を登るだけ。ここは距離も短くすんなり到着。スバリ岳から、同様に景色を見れたが、個人的には針ノ木岳のほうが、ダム湖越しの景色はきれい。
スバリ岳〜赤沢岳
この頃にはガスが多くなって雲の中を歩いている状況。2600m前後の稜線を歩いているので、ガスがなければ景色を見ながら歩けるはずなのだが、見えるのは登山道だけ。岩場の道と、若干ハイマツ帯の道になってきた。更にハイバツが登山道に伸びてきているので、若干藪こぎ状態となる。赤沢岳頂上はガスの中。
赤沢岳〜鳴沢岳〜新越山荘
赤沢岳から更に進む。天候は相変わらずガスのなか。登山道はハイマツ帯が多くなった印象。途中登山道のそばが切れ落ちていたり、斜面崩壊していたりで狭くなった崖っぷちを歩くことが多くなる。ガスっているので幸い高度感はなし。景色も望めず、ひたすら修行のように歩く。
鳴沢岳を超えてしばらくすると、岩場の道がなくなり、土の登山道がメインとなる。がハイマツ帯の藪こぎも暫く続く。ガスって景色が見えないが、雨がふらないだけ助かる。あとは逆に暑さが和らいでいいのかもしれない。鳴沢岳を超えると標高を下げていく。やがて背が低い樹林帯となり、そこを抜けて高山植物帯の中をしばらく進むと新越乗越山荘到着。
新越乗越山荘
テント場なし。水場もなし。看板的なものに飲み物、餅入りおしるこなどあり、と表示があるがお値段が書いてない。時価恐怖症の私はお値段を聞くこともできず小山のテーブルで一休みしただけ。幸いこの先の種池山荘までの水は残っていた。
新越山荘〜種池山荘
新越乗越山荘まで200m程度下がってきたが、ここからは再び200m程度登る。登山道は樹林帯で岩場やガレ場はなく、土の登山道。ハイマツ帯の藪こぎもなくなり、ガスで景色が見えない中、ひたすら歩くだけの修行。やがて沼が現れ、まもなく種池山荘到着。今回はここまで飲料水2500mlを持参、2200ml程度を使用した。
種池山荘でテント泊
種池山荘
小屋の前には3つ程度のテープルとベンチあり。到着時、テーブルで自炊している人がいた。
テント泊のトイレは小屋の脇に設置されている。トイレ入口に手洗い場あり。通貨の際はチップ制で200円。
テント泊は特定日(週末など混み合う日)は予約制。インナーネットで予約可能。予約ができたら事前に受付票をダウンロードして記入して持っていくスタイル。
水場はないが水の販売(200円)あり。登山者が料金を入れ水を自分で汲むスタイルではなく、外に面した受付で料金を支払い、容器をスタッフに渡し、水を補給するスタイル。自分で注ぐ手間はないのだが、2つ渡した容器を2りのスタッフがそれぞれ水を汲んでくれたのだが、同じプラティパスの容器なのに、出来上がりが何故か片方700ml程度しか入っていない。しっかり入れてくれた男性スタップは容器の上の部分をもって注いでいたが、もうひとりの女性スタッフが容器自体を持って注いだので、容器が潰された分、水が少くなったようす。小心者なので受け取ったあとに、「すいません、水が少ないのですが」と言えず。その後もう1回水を買いに行ったときはまた別のスタッフできちんと1L入って一安心。
水の販売は朝5時から夕19時まで。夜間や早朝に出発する人は早めに補給しておきましょう。
売店は小屋入り口の受付そばにある。ビール各種とおつまみあり。
小屋に入る際はマスク着用とあるが、タオルを顔に巻いて入ったが、実際に中にいた人々はマスクをしていない人もいたので、しなくても大丈夫なんだと思う。
テントは小屋から少し離れた場所。周りを木に囲まれ、風の影響が少ない場所。ただし、展望はなし。概ね平らな場所で、登山道付近の一部は水はけが悪そうな箇所がある。ロープで仕切られているが、受付の際に、ロープの区画どおりでなくても大丈夫とのことである程度あいていれば自由に使える様子。
テント泊の受付の際に番号札を渡されるが、「夕方になったらスタッフが回収します」とのことで回収しやすいようにテントにかけておけば、水を汲みに行ってるときに本人不在でも回収されている。以前穂高岳山荘テント場利用時にテント札を持ったままジャンダルムを超え、西穂山荘まで行ってから札の返却忘れに気づいたりしたことがあった。夕方に回収するスタイルは忙しい出発の際に札返却忘れがなくて良いシステム。
この日は早々に夕ご飯→晩酌して就寝。まだご歓談中のグループなどもあるので、いつも通り最強の耳栓をして自分だけの静寂の中で就寝。
Pertex Quantum Proを使用した防水生地のシュラフは結露対策に有効
テント(本当はシェルター)は、潤いのある外気の影響もあり夜間の結露は大量。今回兼ねて用意してあった防水生地のシュラフ(Cumulus X-300 カスタマイズ)を初めて使用したが、当然寝相の悪い状況ではシュラフが結露した生地に接触して水滴が付着。しかし起床後簡単に拭いただけで生地もダウンも濡れている様子は皆無。これで結露の多いシングルウォールテントでもシュラフカバーはもういらないと思う。実際、秋から初冬は湿度も低く換気ができていれば結露は少ない印象なので、むしろ湿度の高い夏季のほうが結露は多いのかもしれない。となると、夏季用のシュラフを防水生地で用意することになるかも・・・・
柏原新道で下山
早く寝たせいか、3時には目覚る。前日の針ノ木岳からの景色を満喫できたので、今日は早々に下山して、温泉に行こうと決めていたので、まだ暗い4時すぎに下山を開始。逆に暗い中登ってきた登山者とすれ違いながら下っていく。針ノ木岳から種池山荘までとは違い、ここは鹿島槍方面の登山者も多いため概ね道は広くて整備されている。5時すぎに日の出となり、昨日歩いた針ノ木岳〜鳴沢岳などの稜線の朝焼が見えた。昨日はガスの中だったが、今日だったらいい景色だった!ということはよくあるので、木にせず温泉目指して下山。早く出たお陰で6時30分には駐車場到着。日曜日だったが、まだ駐車場は満車。紅葉の時期になったらどれだけ混むのか、恐ろしいレベル。
大町温泉郷 薬師の湯で朝風呂
扇沢周辺には大町温泉郷があり、複数の温泉宿がある。が、立ち寄り湯は概ね12時以降。だが日帰り温泉施設があり、ここは朝7時から営業。ちょうど下山して向かうとちょうどいい。
向かった先は【湯けむり屋敷 薬師の湯】。
7時丁度に到着し、入館料750円を支払い早速汗を流す。入館料だけではJAF割引は使えなかった。
貴重品は100円返却式ロッカーがあり、安心。
サウナ、水風呂、露天風呂併設。洗い場は20人分ぐらいはある。
露天風呂からは赤沢岳が手前の山の間から見える。周囲には紅葉の気があり、紅葉の時期はきれいな景色が楽しめそう。
お湯は無色透明。刺激のないお湯。(特に特徴のないお湯ともいえるが)広くてのんびりできる。
登山で疲れた足のクーリングのため水風呂も入ったが、すごく冷たい水でしっかり冷やせる。
湯上がりは売店などを見て歩く。駄菓子ゾーンや時期柄なのか花火ゾーンがあり、しっかりと親子連れの子供を罠にはめるよう仕組まれている。
湯上り後はゆっくり帰宅。テント泊登山で翌日の日の出を見るという要素をぶった切った日程だったが、朝から日帰り温泉に行ったり、外食してゆっくり帰る感じで、それもまたちょっとした旅行気分。
・針ノ木岳からの景色が一度は見た方がいい
・針ノ木岳〜種池山荘までの稜線はハイマツ帯の藪こぎなどあり
・水の量り売りは軽量ミスに注意
・朝日を見ないでさっさと下山して、日帰り小旅行を楽しむのも一つの方法
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